たくめ
セネキトヲ
シーサイド品川
ポブオ
安そうで安くない扇風機

大縄跳びのエース候補


風は笑っている。決して裕福とは呼べない質素なつくりの一軒家、一年ぶりに見る彼女はもう高校生になり、一層大人びたように感じる。しかし相も変わらず彼女は気だるげな声をあげて私の所にその顔を近づけてくる。私はこの時間がたまらなく愛おしいのだ。日差しの暑さが疎ましいと言わんばかりの顔が視界に映る。風はがたついた声で笑っている。自分の体がもう長くが無いことがわかる。
「母さん、そろそろ買い替えないとじゃない?今度は羽なしのやつ欲しい!」
あなたは夏が嫌いでも私は夏が好きだ。一年であなたに会える季節。来年の夏もあなたと過ごせるだろうか。風は笑っている。どこか寂しさを含んだ声で。


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